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この度、日中半導体協会は株式会社MTK(以下「MTK」)の代表取締役 松井淳様に取材を行い、MTKの事業内容と中国市場の進出について伺いました。詳細インタビューは下記です。
――御社の経営理念と事業内容をご紹介ください。
松井 MTKの企業理念は、装置性能を向上させながら、半導体製造装置を安価に顧客へ提供できるように努力します。それが、将来にわたり、途上国の人々もLSI(半導体)を多く使用出来ることになり、便利で幸せな世界になることに繋がると信じます。具体的には、MTKは、半導体のウエット処理装置について、“先端性能でありながら安価な装置を提供する会社”として、今後も邁進して行きます。
――御社は中国市場における事業の沿革をお教えください。
松井 会社設立当初の15年前から、MTKの主要市場は中国と日本と決めていました。米国、日本、韓国、台湾、中国と市場が立ち上がって来た半導体市場の歴史を考えれば、現在、中国の大きな半導体市場は当然の事であった為です。
会社設立時にはリーマンショックがあり、その為、お金のかかる装置ビジネスは開始できず、半導体材料である単結晶SiCウエハの輸入販売ビジネスを約5年間行いました。銀行融資が受けれるようになった6年目から半導体装置ビジネスを開始する為に、デモ用洗浄装置1台を制作して、現在でもMTK内で活用しています。
中国市場への販売についてですが、現在まで、日本会社の中国現地法人が営業活動を行っております。当初は、MTK知名度ゼロ、実績の無さ、営業スキルに課題があり、受注までには至りませんでした。しかし、販売に力を入れていたSiCウエハビジネスの人脈が運で、SiCウエハ用洗浄装置の第1号機をウエハメーカへ販売することが出来ました。現在では、SiCウエハ用洗浄装置をはじめ、大口径のSiウエハ用エッチング装置も販売するようになりました。
――どのような方法やルートを通して中国市場に進出していますか。
松井 基本的には、日本会社の中国現地法人2社と代理店契約を締結しておりますが、顧客の希望を聞いてMTKが直接取引する場合もあります。数社が競争し合い、営業活動して受注数を増加するようになることを期待しています。
――米中貿易摩擦と新型コロナの環境のもとで、中国市場に対する施策、展望と期待をお教えください。
松井 半導体は非常に多くのサプライヤーからの材料、製造装置から出来ています。その為、仮に中国を抜きにしての半導体市場は、
米国が最も大きな損害を被るので、半導体市場の小さな一部での戦略的小競り合いやプロパガンダは発生するが、世界半導体市場全体に大きな影響はないと推定しています。ただし、これを契機に更に、中国政府の半導体デバイス、製造装置、材料の国産化の動きは加速されると思います。
その為、MTKとしては中国企業と組んで、中国ブランドの製造装置を早期に作る必要はあると思います。主要部分は日本からのOEM供給となるでしょう。
――中国市場に向け、貴社のメイン製品について紹介してください。
松井 現在は、洗浄装置が主体で売れています。特に、SiC、GaNウエハはリピート受注もいただいています。また、LTウエハや光通信関係の洗浄装置も引き合いが増加していますので、化合物系の洗浄装置、エッチング装置は注力していきます。
一方、化合物系の数倍の市場規模があるSiウエハ市場向け大口径用洗浄装置も販売中です。このSiウエハ分野で今後、新規装置を上市します。代表者含めて社員には元SEZ社員が多いですので、SEZが得意なSiエッチング装置を改良した装置を上市します。
更に、パーティクル数が非常に少ない、高温SPMによるレジスト剥離装置も上市します。
以下に用途ごとのMTK装置を紹介します。
1)対象基板(ウエハ)
材料: Si。SiC。 GaN。GaAs。 InP。LT。LN。
サイズ:φ2インチ ~ φ12インチ
2)対象分野とMTK装置種類
①半導体前工程
・精密洗浄装置(枚葉スピン式)。
・ウエット処理装置(枚葉スピン式)
a)シリコンエッチング(薄厚化。研削後ストレス緩和)
ベルヌイ式ウエハチャク、ピンレスウエハチャックなど。
b)ポリマー除去
ドライエッチング残渣物除去。
c)高温SPM洗浄
130℃SPMによるレジスト剥離。
d)ウエハ端面・べベル部膜除去(膜剥がれ防止)
ベルヌイ式ウエハチャク使用。
②半導体後工程
・精密洗浄装置(枚葉スピン式)。
a)ダイシング後の精密洗浄。
b)ウエハ、チップ貼り合わせ前精密洗浄
③ウエハ製造用精密洗浄
・精密洗浄装置(枚葉スピン式)。
a)CMP後、最終精密洗浄
b)エピ成膜前後の精密洗浄
c)ウエハ貼り合わせ前の精密洗浄
――「一般社団法人 日中半導体協会」について、ご要望やご期待などをお聞かせてください。
松井 半導体の歴史に忠実に沿いながら、現在の中国の半導体産業の発展が見られています。いずれは、中国からインド、インドシナ半島へ製造が変遷するでしょう。一般社団法人 日中半導体協会さんにおかれては、長く継続して、日中を中心に、又、世界の半導体産業発展に寄与していただきたいと希望しております。
(聞き手・時 記者)
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